北海道商工会議所連合会
会 頭  岩 田 圭 剛



 令和5年の新春を迎えるにあたり、謹んでお慶び申し上げます。

 皆様におかれましては、日頃から道商連の事業活動に多大なるご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、昨年を振り返りますと、冬季オリンピック・パラリンピック北京大会やサッカー W杯カタール大会での日本代表の活躍など明るい話題があった一方、コロナ禍の長期化に加え、ロシアによるウクライナ侵攻等による資源・資材・飼料・肥料等の価格高騰、円安も相俟った物価高など、我が国経済の回復は緩慢なものとなり、経済・食料等の安全保障上の課題が浮き彫りとなった一年でございました。

 そのような中、昨年は3年ぶりに行動制限の無いゴールデンウィーク・夏休みを過ごすことができ、イベント人数制限緩和、水際対策緩和、全国旅行支援の実施等によりイベント会場や観光地への人出が戻りつつあるなど、社会経済活動の正常化に向け、そして物価高騰という痛みを伴いながらもデフレ脱却に向け、着実に歩みを進めた年でもありました。

 商工会議所においては、地域の中小・小規模事業者に国や自治体、商工会議所の様々な支援策が行き渡るよう分かりやすい周知に努め、事業者に寄り添った献身的な支援を行った結果、道内の半数を超える商工会議所で会員数が増加するなど、私どもの活動が高く評価された年でありました。

 全道の商工会議所では昨年11月、任期満了に伴う役員・議員改選が行われ、新たな体制が始動し、これを踏まえて、道商連では12月に役員の一部改選を行いました。併せて、今後3年間の事業活動方針を策定し、新たな第33期目をスタートさせたところでございます。

 第33期の事業活動方針は、「Challenge for the future 〜 持続可能な未来への挑戦 〜」をスローガンに掲げ、喫緊の課題である「経済再生への挑戦」、中小・小規模事業者の 自助努力では対応が困難な「経営環境変化・自己変革への挑戦」、北海道の将来を見据えた「持続可能な社会実現への挑戦」という3つの挑戦に「道内商工会議所の運営・組織基盤強化」を加えた4つの柱で構成しております。

 第1の柱「経済再生への挑戦」では、コロナで傷んだ北海道経済の再生、特に落ち込みが大きい食と観光の再生に力を入れ、食の分野では、販路拡大・販売力強化・付加価値の向上に加え、地場素材を活用した新商品・新メニューの開発支援等に取り組み、観光の分野では、アドベンチャー・トラベルや世界遺産等を活用した新たな魅力創造・発信、地域連携による「稼ぐ観光プロジェクト」の推進、旅の満足度を高めるガイドの育成支援、道商連が制作した全道179市町村を網羅する観光動画ポータルサイト「キタッポ」を活用した誘客促進等、地域の外から稼ぐ力を強化して参ります。価格高騰対策では、中小・小規模事業者が様々な支援策を活用できるようサポートし、「パートナーシップ構築宣言」の更なる普及のもと、取引の適正化や円滑な価格転嫁に向けた環境づくりに取り組んで参ります。

 第2の柱「経営環境変化・自己変革への挑戦」では、商工会議所の基本である「伴走型支援」の他、中小・小規模事業者がリモートワークやオンライン・電子申請等の潮流に 適応するためのIT実装化支援、省エネや再生可能エネルギーの活用など中小・小規模事業者のカーボンニュートラル推進、企業への輸出支援による海外から稼ぐ力の強化に努め、加えてSDGsや働き方改革、生産性向上等、時代に求められる対応への支援に取り組んで参ります。

 第3の柱「持続可能な社会実現への挑戦」では、構造的課題である人口減少対策、人材確保対策に力を入れる他、北海道の成長を牽引する分野として、高いポテンシャルを持つ再生可能エネルギーの事業化促進支援、地理的に優位性を持つ宇宙産業の集積支援などに取り組み、食・観光に続く成長産業の創出に努めて参ります。
併せて、北海道の可能性を引き出し、我が国に貢献していくために必要なインフラ整備を国に求めて参ります。

 そして、これら3本の柱を支える第4の柱「道内商工会議所の運営・組織基盤強化」では、会員サービスの拡充や商工会議所のスマート化、緊急時の広域的な補完関係の構築等、各地商工会議所向け支援体制の強化に努めて参ります。

 以上、新年を迎えるにあたり所感の一端を申し述べました。
 地域唯一の総合経済団体である私ども商工会議所が先頭に立ち、企業を守り育て、雇用を支え、地域創生の実現に貢献して参りたいと存じます。本年も皆様のご支援ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

 結びに、本年が皆様にとって実り多い素晴らしい一年となりますよう、心からお祈り 申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。